学位と高等教育の質保証
「高等教育における職業教育と学位」(2016)
高等教育における職業教育と学位 ─アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・中国・韓国・日本の7か国比較研究報告─は、高等教育研究を専門とする学識経験者、行政担当の文部科学省関係者、及び研究開発部教員によって、2年間にわたって実施した学位の構造・機能に関する比較研究の報告です。
20世紀末以降の産業・職業構造の変化と高等教育のユニバーサル化の進展を受けて、大学における人材育成機能と、高等教育と職業との関係にも変化が現れてきています。我が国では、平成31年度から「専門職大学・専門職短期大学」が創設されることになりました。一方で、高等教育(学士課程)レベルの職業教育が学位の取得に結びつき、その学位の国際的な通用性を確保するためには、学位授与権を有する高等教育機関の要件、学修・教育の内容と水準の質的保証を含めて、高等教育システムの構造と職業教育の位置づけに関する検討が継続的に必要だといえます。
本報告では、各国の高等教育において職業教育がどのような位置を占めているかを、国際比較の枠組みと共通の調査項目を用いて明らかにしています。本研究報告の各章は、いずれも
- 高等教育の制度、法的地位
- システムの構造と機能
- 政策の動向
から構成され、アメリカ、ヨーロッパ、東アジアの7か国の高等教育システムと職業教育との関係を、制度的、社会的、政策的側面から分析しています。
「学位と大学」(2010)
学位と大学─イギリス・フランス・ドイツ・アメリカ・日本の比較研究報告─は、平成16年に(当時の)大学評価・学位授与機構において組織した「学位システム研究会」による学位制度の理論的基底と学位の構造・機能に関する比較研究の報告です。
主な柱として、
- 大学と学位授与権の関係
- 大学の設置形態 と設置認可
- 学位授与権の認可
- 学位の質保証
をあげ、各国の法令を一次資料として当時の最新資料やデータを駆使してこれらを明らかにしています。
各国の学位制度の状況を比較の上で提起されている高等教育に関する課題としての「学位の国際的な相互認証に関わる問題」や「学位と学位以外の高度な教育修了資格との関係」は、我が国における学位制度を考える上で、現在もなお重要だといえます。
日本の高等教育・質保証システムの概要
大学改革支援・学位授与機構では各国(約20か国)の高等教育質保証情報をインフォメーション・パッケージとしてとりまとめ、うち9か国については日本語と英語で「高等教育分野における質保証システムの概要」として公表しています。
「日本の高等教育・質保証システムの概要(第3版)」(2019)では日本の高等教育及び質保証制度に係る以下の情報を掲載しています。
- 日本の高等教育:高等教育制度の沿革、主要学校系統図、高等教育資格と授与機関、高等教育機関への入学資格・入学者選抜制度、所管官庁、関係組織、授業料・入学料、奨学金制度、学習者の形態、関係法令 ほか
- 日本の質保証制度の概要:高等教育質保証制度の概略、質保証制度の種類・沿革、関係法令